三国山

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アクセス難度
装備:トレッキング
道路:山岳路
交通機関:本数少(下車後歩き)
行動:40/100(登山道、急峻、クマ注意、徒歩2時間以上)

広葉樹の山頂

三国山(みくにやま)は神奈川県の西端エリアにあり、この山で神奈川、山梨、静岡の三県が境を接する。
山中湖村観光課が公開しているこの付近のハイキングコースマップには、三国山の東側に「ブナの巨木群」の記載がある。山中湖村が配布している地図だが、ブナの巨木群のあたりは神奈川、静岡県境だ。
三国山周辺に降った雨は山中湖を経て相模川水系へ、あるいは南側の酒匂川水系へ流れ込む。いずれも下流の神奈川県内には取水施設がある。県内の水道の源となる森の一つなのだ。

歩く距離はそれほど長くない。標高1168mまで県道を車でアクセスできるので、標高差も比較的小さく、手軽にブナ林を楽しめる。特に迷いやすいところもないので山中湖村の地図でも十分だが、現在地の分かる『山と高原地図アプリ』に付近をカバーしている「丹沢」か「富士山」の地図(有料)を入れておくと安心だ。

クルマがないとアクセスは不便な地域だ。山梨・神奈川県道県道730号線の三国峠に駐車スペースがあるが、止められる台数は少ないので早めの到着を推奨。
県道が通る三国峠

1168mの三国峠から1320mの三国山に登る。指導標は登山口と山頂にしかないが、テープは適度に付けられたコースで、尾根を外さないように登っていけば迷うことはない。昨年熊の出没があったそうなので、念のため熊よけ鈴の用意を勧める。
熊に注意
三国峠からの登山口
ブナ林を登る
落ち葉を踏みながらの山歩き

山頂までは三国峠の県道から30分ぐらい。ずっと登りなので、運動不足の人にはちょっとつらいかもしれない。まずは西側、大洞山方面に歩いてみる。
山頂の指導標

広葉樹林のなだらかな尾根道。15分ぐらい歩いたところで三国山に引き返した。
広葉樹の林の中を歩く
秋は落ち葉

三国山山頂に戻ってから、ブナの巨木群のある明神峠方面に歩いた。

三国山の御料地境界石

三国山は相模国、甲斐国、駿河国の国境でもあった。山頂にある「御料地境界石」には、国名が刻まれている。分水嶺や律令国に思いをはせる。
相模国、甲斐国
駿河国

ブナの巨木群

本命のブナの巨木群は山の東側にある。三国山から神奈川・静岡県境に沿い県道まで下る登山道が、巨木群のなかを通る。山中湖村のハイキングコースマップでは村外になるこのルートが記されていないが、現地には指導標もある。明神峠方向に下り、クルマを三国峠に置いたなら県道を歩いて戻るコースが楽だ。
なお、『山と高原地図 丹沢』にはこの区間も記載がある。三国山から県道まで登り40分下り30分となっているが、ブナ林の写真を撮りながら歩いたら、下りでも1時間以上かかってしまった。
山頂からこの方向へ下る
早速ブナ林
この経路も気持ちのいい道
苔生した幹と落葉
色づく木々
大きなブナの葉

巨木が多いのは標高1200m前後のあたりだ。
2mぐらいありそうな太い幹

巨木群地帯

太い

ふた抱え以上

変わった形の木も

巨木と登山道

どれもデカい

県道に合流する。三国山から神奈川・静岡の県境をずっと下ってきた。
県道から分岐する登山道

「金太郎」取り付けられたが指導標

鉄砲木ノ頭(明神山)

三国山周辺のブナをはじめとする広葉樹林歩きは楽しい。しかし、視界が開けるポイントがないのが欠点だ。この近くで展望が開けているのは、三国峠から県道を挟んで反対側(北側)に神奈川・山梨県境をなぞって登った鉄砲木ノ頭てっぽうぎのあたま明神山みょうじんやま、1291m)である。冬から春には雪化粧した富士山を、晩夏の早朝には赤富士を楽しめる。
富士山と山中湖
朝日を浴びて
9月には赤富士を楽しめる

鉄砲木ノ頭は火山性の土壌にススキ野原の景色だが、山頂から高指山(北側)の方向に100m前後進むと広葉樹林がある。山頂を挟んで植生がまったく違うのが面白い。
ススキ野原に富士山
鉄砲木ノ頭の指導標
こちらは広葉樹林
雪化粧

三国峠から鉄砲木ノ頭への登りは、指導標がある「正規の」登山道は最近あまり整備がされていない様子だ。
県境表示がある
こちらの県道可動ゲート横から続く経路のほうが歩きやすい。
林班の標柱から踏み跡が続く
そして2022年ごろ、駐車場の道路向かいに、この踏み跡が付けられた。こちらがいちばん楽な経路だ。
えぐれているところから登る

鉄砲木ノ頭にも行く場合、三国山よりも先に、朝のうちに立ち寄ってしまうのがオススメだ。富士山の眺めは空気の澄んだ朝のうちのほうが概してよく、光線も順光になる。