天王寺尾根丹沢山

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アクセス難度
装備:トレッキング
道路:山岳路、狭小区間
交通機関:なし
行動:60/100(登山道、急峻、ヤマビル注意、クマ注意、徒歩4時間以上)

背後に丹沢山頂が見えるあたりにもブナ林がある広葉樹の森は水を蓄える。なかでもブナは日本の広葉樹林を代表する樹木だ。
丹沢山の周辺にはブナの林が残っている。かつてに比べ衰退してしまったといわれるところも多いが、山の東側一帯にはまだ十分楽しめるブナの林が残っている。

ブナ林が残る丹沢山東側の登山口は、神奈川県道70号秦野清川線の塩水橋しおみずばしである。「駐車場」といえるような設備はないが、路肩にクルマを停めるスペースがある。行儀の悪いヤツがいなければ、10台近く駐車可能だ。しかし、春や秋の週末や休日には、すぐにいっぱいになってしまう。11月3日は6:40で残り3台程度になってしまっていた。塩水橋がいっぱいの場合、徒歩10分ぐらい宮ヶ瀬寄りの青宇治橋にも5、6台駐車できる余地がある。
なお、塩水橋にバスは来ていない。クルマを持っていなければレンタカーにすべし。最寄りのバス停は宮ヶ瀬湖畔の「三叉路」というバス停なのだが、塩水橋まで歩くと1時間以上かかる。
塩水橋周辺に駐車場といえるものは無いが、いろいろ工夫

塩水橋から丹沢山へは、天王寺峠から天王寺尾根を経由するコースと、堂平を経由するコースの二通りあり、行き帰りで使い分けるのが楽しい。結論から言うと、行きは天王寺峠経由で天王寺尾根を登り、帰りは堂平経由で帰ってくるのがいい。なぜなら、堂平を経由するコースは舗装された林道が5kmと長いので、万が一暗くなってしまってもヘッドライトさえあれば塩水橋まで戻ることができるからだ。いっぽう、天王寺峠を経由するコースの林道は30分程度で残りは登山道だから、暗くなってから歩くのはとても厳しくなる。

私の文章はいつでもこのように結論を先に書いてしまうからツマラナイ。わが国のコンテンツ産業においては結論をなかなか書こうとしない意地汚さが面白がられ評価されている気配もあるが、そうした意地汚さのために先細りになりつつあるとも思っている。そういう商売は遠からず飽きられるのであり、縮小再生産ではいつまでも食えるわけはなかろう。

そんなことはどうでもいい。このページでは天王寺峠から天王寺尾根を登る往路をまとめる。堂平を経由した復路は別のページにまとめている。

今回のコースである。行きは天王寺峠から天王寺尾根を登り、帰りは堂平を経由して塩水林道を下った。例によって写真を撮るためにやたら止まったり、日の光の差し具合が良くなるのを待ったりで、ずいぶんと時間がかかっている。さらには丹沢山山頂で富士山にかかる雲が切れるのを待った。加えて往路で若干コースを外し、30分前後ロスをした。「猫の散歩」のような山歩きである。
『山と高原地図』のコースタイムは6時間15分のところ、10時間近くを要している。『山と高原地図』のタイムは休憩時間を含んでいないから割り増しして考える必要があるが、山歩きの初心者でもこのぐらい時間がかかることを考えておけばなんとかなるだろう。

塩水橋のあたりにクルマを停めたら林道に入る。
塩水橋の林道入口に指導標がある

林道は舗装されていてコンディションはとても良い。普通のクルマでも十分走行可能なのだが、乗り入れ禁止だ。歩行者はゲートの右側から入ることができる。
林道のゲートは厳重だが歩行者は進入可能

林道を歩くとすぐに分岐がある。直進すると天王寺峠方面の本谷林道。右側は帰りに使う堂平まで続く塩水林道だ。
林道に入るとすぐに分岐

帰りに使う塩水林道にかかる「瀨戸橋」。雰囲気あるね。
分岐点に架かる「瀨戸橋」

往路は本谷林道経由で丹沢山のコースにする。
林道に指導標があるのも考えてみれば変

写真写りのいい橋を渡る。
本谷林道の橋は趣あり

またしてもズリのみ。
マムシソウ

標高500m前後の林道ではこのような色づき具合であった。
紅葉する林道

塩水橋から30分ぐらいでこのつり橋、「本谷橋」が見えてくる。
本谷川に架かるつり橋

つり橋のすぐ手前に、天王寺峠・丹沢山への指導標がある。
本谷橋手前に指導標がある

つり橋にも寄ってみる。
本谷橋

橋の中央からの眺め。日の当たる側、当たりにくい側での違いがあるようですね。
紅葉が進む様子を眺める

この日は林道から登山道に入り3、4分の階段が途切れるところで騙された。登山道よりも立派そうに見えるこのような林業用の作業道が別れている。素直に登っているのは作業道のほうなので、そっちに行ってしまった。分岐点の写真を取り損ねたが、正規の登山道はいったん下り、沢沿いを遡る。
作業道のがリッパ

登山道から外れているのに、さらに進んでしまう。人が歩いた形跡は明らかにあるのだが、草ボウボウになってくる。やらかしたな。
草ボウボウになる

紙の地図しかなかった時代なら間違いなく出発点に戻っていた。GPSがある現代は便利だ。登山道は外しているけど、この植林の中を登ればなんとかなるな。
植林を登るか

こんなところに登り着いた。
植林の中を鹿柵が横切る

この鹿柵づたいに尾根を下れば登山道に復帰するはずだ。GPSがなければ迷ったときに下る判断はそうそうできない。いまやGPSを搭載した端末は安全な山歩きに必要不可欠な装備だが、便利な装備が山歩きを味気なくしてしまったともいえる。
鹿柵が尾根を下る

予想どおり、登山道の指導標が見えてくる。
指導標が見えてきた

青いテープで封鎖されているほうから来てしまったわけだ。
しかし、迷った道にはピンクのテープもたくさんあり、人が歩いた形跡もはっきりしていてとても紛らわしかったな。最初の分岐で教えてくれればいいのに、肝心なところに看板がない。(戻ろうとしなかったヤツが悪いのだが)
登山道に復帰

登山道に復帰して、せっせと天王寺尾根を登っていく。最初のうちは植林のなかの道で退屈だけど、日が差して水蒸気が上がる様子は面白かった。針葉樹の林であっても、森は水を蓄えている。
日が差してきて、水蒸気が立ち上る

標高1000mあたりから、ブナ林を歩く区間に差しかかる。こうして発表しているくせに書くのもなんだが、大勢人が来たら根を傷めてしまいそうだ。
ブナ林の中を歩く

落ち葉が積もっているところも多い。雰囲気はとてもいい。しかし、どこを歩いたらいいのか分かりにくいかもしれない。
登山道には落ち葉が積もる

標高が上がるにつれ、色づき具合も変わってくる。
黄色、紅葉

帰りに通る予定の堂平経由の道との分岐。ブナ林を見るだけならこのあたりで引き返したっていいのだが、せっかくだから丹沢山の山頂まで行く。
堂平方面と天王寺尾根の分岐

色づいた葉の間から、丹沢山山頂が見えてくる。堂平経由の道との分岐点から山頂まで『山と高原地図』のコースタイムでは40分なのだが、初心者は1時間ぐらいの心積もりでいたほうがいいね。
丹沢山山頂が見えてくる

なぜって、山頂手前には延々と階段が続いたり。
山頂手前の階段

鎖をつかんでこんなところを登れとか、無茶な要求をされる。注意して登り降りすれば平気だけどね。
鎖場

山頂に登り詰めるところの景色はいい。
丹沢三峰側の景色

撮りようによっては、階段にも趣がある。山歩き初心者だとこのあたりでは意識がなくなるほどの苦しみようなのかもしれないが。
山頂近くの階段

丹沢山の山頂は塔ノ岳蛭ヶ岳に比べると展望には優れていない。それでも、富士山の眺めは期待できる。
山頂の景色

この日はなかなか雲がどいてくれなかった。
積雪しはじめた富士山

帰りの堂平経由のほうがブナ林は充実している。