写真を加工して明るくしてあるあたりが、大隈重信の別邸だった。
昭和40年代初めには取り壊され、小分けに分譲されてしまったが、新興住宅地とは通りや家並みが違うことが分かる。
後年、高田早苗に譲った最初の別荘については稿を改めて掲載するつもりであるんである。
右下の一画が別邸跡。相模湾がすぐ近くにあり、国道、そして東海道線が通る。マンションで視界を遮られてしまったが、大隈の気に入った海の眺めはよい。
遠くには江の島も見える。
大隈別邸に隣接していた森村市左衛門別荘は一部が残っており、陶芸家の鈴木三成作品陳列館になっている。成瀬仁蔵は亡くなる年の年末年始、ここに泊まっていた。
裏手の坂を登る。森村別荘を過ぎてからは平成に入って西山団体営農道として整備された。坂は急だが拡幅され、昔に比べると格段に通りやすい道になったそうだ。大隈が成瀬を散歩に誘ったのは、この丘であろう。
丘陵地帯はずっと続いているが、ある程度登ったところには吾妻神社がある。散歩の目的地にしたのはこのあたりだったのだろうか。