サンショウバラの丘・不老山

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独特な、派手な花サンショウバラは大柄の派手な花で「日本ばなれ」しているが、日本固有種であり、神奈川・静岡・山梨県境付近に自生する。相模国らしい花のひとつといえるだろう。
歴史的には何度も富士山や箱根山の噴火に見舞われてきたであろう厳しい環境のこの地に、こうした固有種が生き残っていることに感慨を覚える。

花見スポット

サンショウバラの見どころとして名高いのが不老山周辺だ。「不老山」の読み方は「ふろんざん」「ふろうやま」などもあるようだが、この記事では現地の指導標にしたがい「ふろうさん」としている(それが関係するのはファイル名ぐらいだけど)。
その不老山周辺でのサンショウバラの見どころは、「サンショウバラの丘」(標高約730m)と「不老山山頂」(標高928m)のおおむね2カ所だ。見ごろは5月下旬から6月上旬といわれているが、両者の間にはおよそ200mの標高差があり、日照の条件も違うので開花の時季は1~2週間ずれる。花を楽しめる期間は長くなるが、2つのスポットで同時に花を楽しむことはまず不可能だ。両方の地点で楽しみたければ、2回の訪問が必要になる。

サンショウバラの丘

まずは標高が低く開花時季の早い「サンショウバラの丘」(標高約730m)である。ここからは富士山をバックにサンショウバラを眺められる。難点は、北東側から富士山を望む位置にあることだ。花はたいてい、南東~南西の向きに咲いている。サンショウバラと富士山の「ツーショット」を写真に収めようとすると、たいていのサンショウバラの花は「そっぽを向いて」いる。
しかし、このロケーションは素晴らしい。富士山をバックにこちらを向いて咲いているのは、天邪鬼なサンショウバラであろう。
雪の富士、そしてサンショウバラ
花がこっちを向いてくれない
なかなかこっちを向いてくれないのが玉にきずだ。
あちこちに、サンショウバラ

世附峠・不老山側からサンショウバラの丘を見る。右側に続く稜線から、富士山、愛鷹山、そして箱根の山並みと、展望が広がる地点である。
雄大なパノラマが広がる
写真ではあんまり咲き誇っているようには見えないけれどね

では、向こうに見える不老山に行ってみよう。いったん林道と交差する世附峠(標高710m前後)まで下り、そこから標高928mの不老山まで登り返す。サンショウバラの丘から不老山山頂までは、およそ1時間の道のりだ。
すぐ近くではある

不老山山頂

サンショウバラの丘に比べると、サンショウバラの本数は少ない。しかし、ここには大木がある。
不老山山頂でもサンショウバラを楽しめる

そして面白いことに、不老山山頂の木はサンショウバラの丘よりも大輪を咲かせる。この記事の冒頭の写真も、不老山山頂で撮影している。
不老山のサンショウバラ

最初にお断りしたように、サンショウバラの丘と不老山山頂では花期がズレる。この記事のサンショウバラの丘での写真は2018年5月22日に、不老山山頂での写真は2017年6月9日に撮影している。
サンショウバラの丘がそこそこの見ごろを迎えていた2018年5月22日、不老山山頂ではこのとおり。まったく咲いておらず、つぼみもまだ固かった。
まだ咲いていない不老山山頂

経路

山北町・丹沢湖側・浅瀬ゲートから

不老山周辺では2010年の水害で登山道が荒れてしまった。なかでも、丹沢湖畔、浅瀬から世附峠に至る登山道でつり橋が流されたのが痛い。経路は大幅に制約されるようになってしまった。
もう少し楽ちんなコースはないかと、2017年5月下旬の「サンショウバラシーズン」に、探索を試みた。丹沢湖畔(というか、丹沢湖ではいちばん西側の奥の)浅瀬地区からサンショウバラの丘、不老山山頂を往復するコースである。
このルートを試したのは、つり橋が流失した以前の登山道より西側、芦沢橋付近から稜線の登山道に向けて、黒い破線の経路が国土地理院の地図に描かれていたからだ。少なくとも過去には道があり、歩かれていたはずだ。2017年6月にこのコースを試した後、2018年5月にも同様の経路でサンショウバラの丘と不老山山頂を訪問して、この記事を作成している。

相変わらず素っ気なくてツマラナイ私の説明は省いて、皆さまの関心事である、経路の実績である。マーカーをポイントすると説明(というほどでもない)が表示される。浅瀬のゲート手前からサンショウバラの丘を経由して不老山まで、往復6時間かかった。光線の変化を待つために待ち時間がかなり生じている。往復に要する正味の所要時間は5時間程度であろう(重機が通行可能な区間が多いとはいえ、登りは急斜面なので所要時間は体力による)。

スタート地点は丹沢湖畔で神奈川県道76号線と分岐する県道729号線を進んだ浅瀬地区だ。浅瀬地区にはゲートが設置されており、これより先一般車両は通行止だ。自転車も不可である。車はゲート手前の道幅が広いところを選んで路駐する。
浅瀬地区のゲート通過

林業の車両も通行するので、仕事の邪魔にならないよう注意されたし。道路を木材を満載したトラックが決して広くはない道路を行き来する様子は、山仕事への畏怖を感じさせる。
満載のトラックが芦沢橋を渡る

ゲートの少し先で、漁協の事務所前を通過。世附川は渓流釣りの人たちに人気のエリアである。
漁協事務所

浅瀬橋を渡ったところの分岐は左方向に進む。
雰囲気ある浅瀬橋の親柱
浅瀬橋を渡るとすぐ分岐

流されてしまったつり橋の痕跡が残っている。
つり橋の橋台跡
対岸にも

世附川の対岸に夕滝を見る。
落差のある夕滝

芦沢橋を渡る。橋は水害ですっかり傷んでしまっている。道路の橋に並んて、かつてこの地を走っていた森林鉄道の橋台跡が残っている。
芦沢橋
趣ある森林鉄道の橋台跡
痛々しい芦沢橋

芦沢橋を渡ったら、作業道を登っていく。上のほうまで重機が通行できるよう整備されている。
小屋のあるあたりから作業道に取り付く

がしかし、作業のための道なので、上のほうに向かって熊手みたいに枝分かれしている。一般的に登山の経路選択は下りのほうが難度が高いが、ここでは登りの経路選びがとても難しい。初回の訪問時には2回、行き止まりの経路に迷い込んでしまった。基本的には、上へ、上へと経路を選んでいけば「正解」となるが、地図でもよく確認しておくべきだ。GPS付きのデバイスは不可欠な装備である。
国土地理院の地図に黒点線で描かれている経路と重なるが、もともとの登山道は重機が通行できる経路の整備にともない、上書きされたり、寸断されたりしてしまっているようだ。
ぐんぐんと高さを上げる
張り巡らされた作業道

標高640m前後のこの地点で、作業道は二手に分かれる。向かって右(西側、ほぼ直進)は稜線の登山道まで続く「正解の作業道」(楽ちんな経路)。左(東側)に分岐する作業道は行き止まりのようだ。また、2つの作業道の間の尾根には、国土地理院の地形図に描かれているものと思われる「登山道」が続いている。
開けていて、山の要衝のような標高640m地点

「登山道」にはところどころテープも付けられていて経路はハッキリしているが、若干足場の悪い箇所もある。雰囲気はあるが無理にこの経路を選択する必要はなさそうだ。「正解の作業道」とはほぼ並行しており、景色も大差ない。
尾根をたどって登るしかない
植林も続いているが、楽しい

標高710m付近で尾根に出る。ここから先は明神峠・湯船山から世附峠を結ぶ稜線の「正式な登山道」だ。サンショウバラもあちこちに生えている。
尾根道、植生豊か

登山道に合流したら「サンショウバラの丘」もすぐ。サンショウバラの花は気むずかしい連中で、一輪一輪が咲いているのは開花から24時間程度らしい。木についた全部の花がいっぺんに咲くわけではないので、それなりの期間は花を楽しめるが、桜のような「満開」に出会うのは大変だ。
サンショウバラの丘

若干下って、世附峠に至る。林道と交差する。「浅瀬橋」「浅瀬入口」方面は、流されてしまったつり橋に至る経路だ。今は通れない。
山の要衝

手製の案内があり、この先は不老山山頂に向けて登っていく。途中は尾根にしたがい登っていくだけで、分かりにくいポイントは特にない。
手製案内看板

小山町・不老橋から

最低地上高の低い車や幅の広い車でなければ登り始めの標高が浅瀬ゲートからよりも高いので、楽なコースだ。
こちらもマーカーをポイントすると説明(というほどでもない)が表示される。不老橋のゲート手前から世附峠、サンショウバラの丘を経由して不老山まで、往復6時間かかった。光線の変化を待つために待ち時間がかなり生じている。往復に要する正味の所要時間は4時間程度であろう(登り所要時間は体力による)。
2010年(平成22年)の水害で荒れてしまった経路だが、今はすっかり整備されていて、楽ちんな林道歩きで世附峠まで到達可能だ。

最低地上高の低い車や幅の広い車はここ、山口橋の駐車スペースまで。具体的な車名でいうと、プリウスはここまでだ。この地点からだと、登らなければならない標高は浅瀬ゲートからのルートと同様だ。
ここまでは舗装路

山口橋から先は舗装されていないダートになる。ワゴンRのような軽四はオーバーハングが短いので楽勝でこの地点、不老橋の林道ゲート手前まで乗り入れられる。ガードレールがひん曲がっているのは気にするな。なるようになる。それだけだ。
よく見るとここも怖い

あとはひたすら林道歩き。2010年(平成22年)水害で壊滅的な打撃を受けたらしいが、今はすっかり修復されていて、安心の林道歩き。
派手に崩れたんだろうな。