神奈川水めぐり

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日本の人口のおよそ3分の1は首都圏に暮らしている。
それが良いのか悪いのか。そんな大げさなことはここでは考えない。
日本国民の3分の1にとって、神奈川県はカネも時間もかからず手軽に行けるディスティネーションであるから、大いに楽しみましょうというわけだ。
その神奈川県は、「水不足知らず」で名高い。夏場の首都圏におけるニュースでは、毎年のように渇水が取り上げられる。しかし、いつも決まって「神奈川県を除く」が枕ことばになる。豊かな「水」はこの県を楽しむキーワードなのである。なので、水をテーマに神奈川県をウロウロしてみる。
弊サイトでは到達するのが極度に難しいところへ行く記事や、やたらカネがかかる場所を訪ねる記事はやらない。
手持ちの服や道具で今度の週末に出掛けられるところがほとんどだ。
コンセプトは、ちょっと頑張れば誰もが追体験できるお出掛けの楽しさを世に広めることである。

季節のオススメ

3月、4月

花の季節到来。桜の名所を訪ねる。

5月、6月

新緑の季節、渓流沿いの林道やブナの森を楽しむ。ただし、熊の出没には要注意だ。複数人での行動を推奨する。
6月1日~7日の間は水道週間で見学会が開催される施設も多いから要チェック。

水道週間の施設公開

7月、8月

滝で涼む。ヤマビルが発生する地域もあるので注意。丹沢の東のほうの水辺はヤマビルの巣窟になるところが多いようだが、西のほうには少ないからオススメだ。
夏休みに合わせてダム見学会あり。
夏場はダムの水位が下がる。普段は湖底に沈んでいるものが見えるかもしれないが、草が生い茂る場所ではマムシに気をつける必要がある。

9月

大雨が降ればダムは通常の発電用だけでなく、洪水吐ゲートからも放流するかもしれない。
これでおしまいだ。9月は端境期のような時期で、オススメできるスポットが非常に少ない。

10月、11月

10月後半からは紅葉が進む。オススメは新緑の時季とほぼ同様だ。

12月、1月、2月

真冬は木の葉がほとんど落ちていて、谷あいの滝もダムも見通しがききやすい。雪化粧した山並みも見られるかもしれない。
積雪や道路の凍結には注意。
山に登るスポットは日が短くて大変だが、積雪前のタイミングなら最高の眺めを楽しめる。

制作の顛末

2016年

2016年5月。新緑の季節である。鍋割山のあたりで渓流沿いの林道やブナの森を楽しんだ。

6月は神奈川県内のダムをめぐった。
全部回るには、クルマで移動する場合でだいたい4、5日かかります。
マーカーからも記事にリンクしてあります。
これで神奈川県内のダムめぐりは終了。
6月には水めぐりのハイライト、ユーシン渓谷も歩いてきた。訪問した翌週に熊が出没したのにはビビった。

7月からはをめぐる。
が、捗らない。光線のいい時間に写真を撮る、可能な限り滝壺に浸かる、という条件を設定すると、一日2滝がせいぜいになってしまう。よせばよかった。

7月終わりから8月、ヤマビルの発生がひどいようだ。当たり前だが暑い。滝めぐりは当分休止して、夏休みに合わせたダム見学会ダムカード集め水道施設めぐりに興じた。

8月終わりから9月。ヤマビルの勢いはまだ衰えないようだ。台風もたびたび襲来し、山歩きどころではない。しかし、台風が来れば大雨が降る。大雨が降ればダムは通常の発電用だけでなく、洪水吐ゲートから盛大に放流するはずだ。
そこで9月はこの季節ならではのネタ、ダム放流中の模様を追っている。

と、言ってみたものの、ダム放流はそうそう目にすることができない。三保ダムの放流を見たかったが、まるでダメである。今シーズンはもはや期待できそうにない。
それならほかのものということで、9月末からは水道に関連する施設を回るネタを深度化させた。水の供給を支える導水路も回っている。

またまたこんなこと言ったクセに、10月になり秋は急速に進んできた。川を遡るネタも追加することにした。

ところが11月に入り、またまたまたまた気が変わった。秋といえば紅葉だ。赤や黄色の森をめぐるネタがウケるはずだ。半ば強引ではあるが、豊かな水を支える森林をめぐることにした。さまざまな木が森の保水力を支えているが、集客できそうなキーワードを設定したいという下心があり、ブナ林をカテゴリに追加してみる。カテゴリはブナ林のクセに、モミジがたくさん写っていたりするのはサービス精神のなせる技である。

紅葉っていえば、神奈川県内における珠玉のスポットはユーシン渓谷だ。新緑の季節に取材しているが、紅葉も狙おうとたくらんだ。ところがである。計画のまさに前日、史上まれな11月の積雪に見舞われた。紅葉のユーシン渓谷の計画だったが、雪化粧のユーシン渓谷に変更された。

12月になると紅葉も終わりに近づく。道路の凍結も心配になる季節だ。いっぽう、降雨は少なくなるので、川沿いの道も比較的安心して歩ける。天候が安定しているタイミングを見計らって、道志川の源流域を探索した。2016年は横浜市が道志村の森を水源林として購入してから100年の節目の年であった。鳥ノ胸山から水源林を見渡したり、道志水源かん養林に関連するスポットも訪問している。
ついでに山中湖の相模川源流にも立ち寄った。

2017年

年が変わって2017年。1月2月はやっぱり寒い。温暖な神奈川県とはいえ、山間部では積雪の可能性もある。天気予報と休みの都合をすりあわせるのが大変だ。
しかし、真冬は木の葉がほとんど落ちていて、谷あいの滝もダムも見通しがききやすい。夏にはヤマビルに悩まされる川沿いの歩きも安心だ。雪化粧した山並みも見られるかもしれない。鍋割山稜の麓にあるミズヒ大滝黒竜の滝を訪ね、三保ダムを山から俯瞰した。

3月終わり、桜が気になるが、今年の開花は遅れているようだ。開花情報を集めながら4月にかけて走水水源地城山ダム周辺を回った。

5月、2016年秋には途中で撤退した早戸川を遡る道に、しょっちゅう流される丸太橋が復活しているという情報あり。よっしゃ今だ!ってわけで早戸大滝を目指した。ヤマビルはまだ出没しておらず、かつ丸太橋があるという、絶好のコンディションで早戸大滝に到達した。これにて県内にある「日本の滝百選」はすべて踏破したことになる(神奈川県内に「日本の滝百選」に選定された滝は2つしかないが)。

また、静岡県駿東郡小山町の富士山五合目付近に所在するため、このサイトに含める理屈をどのように編み出すべきか思案していた須走まぼろしの滝を探索した。初回は富士山が見えず、2回の訪問を余儀なくされた文字どおり「まぼろし」の滝であった。

5月末にはブナ林が残る檜洞丸周辺を探索した。シロヤシオやトウゴクミツバツツジの花見で人気の山だが、このサイトでの関心はブナ林である。期間が限られ、しかも花付きが「当たり年」「裏年」に左右される花見と違い、ブナの新緑は5、6月を通じて楽しめる。この山域ではヤマビルの被害も耳にしない。

6月最初の1週間は水道週間である。この時期に合わせて施設公開が実施されたりする。2017年は相模大堰谷ケ原浄水場、そして津久井発電所津久井分水池を見学した。

6月も後半になると、日差しはどぎつくなってくる。涼しいところがいい。ヤマビルがいない山歩きを楽しめるのは西丹沢であるが、もうずいぶんあちこち行ってしまった。西丹沢ならなんべん行っても楽しいのだが、それでは記事にもならない。今まで取り上げていない水辺ということで、箱根の芦ノ湖を探索してみた。よく知られたスポットに行ってもしょうがないし、有名観光地だけに物価もお高い。なので、芦ノ湖西岸を歩いてみた。アップダウンも少なくて楽ちんで、じつに静かな歩きを楽しめた。訪れる人も少なく、誰も知らない箱根の雰囲気である。経路にある深良水門湖尻水門も興味深い。

7月に入ると暑い。何もしなくても暑い。そんな季節にわざわざ出掛ける必要はないのだが、秋までネタができないのも困る。日本最古の水道施設たる、小田原用水を訪ねてみた。用水が面している醤油の醸造元の建物はとても興味深かった。

2017年は相模ダムの竣工から70年の年であり、7月に記念イベントが開催された。相模ダム相模発電所の普段は見られない施設を見学した。

で、なんだっけ。そうだ、夏休みということで、自由研究的な素材になるかもしれないダムカード集めの企画に、電車やバスで回るコースを追加してみた。あんまり勧められませんなあ。最短2日間で県内のダムカードをすべてコレクションに加えられるが、4、5日かけて、ゆっくり見るのが良いのでしょう。

さて、今年の神奈川県は雨が少ない。7月下旬、ダム湖の貯水率は史上まれな水準まで低下してきた。となると、宮ヶ瀬湖丹沢湖、津久井湖で普段は湖底に沈んでいるものが見られる。これでもまだ、「切羽詰まった」水不足には至っていないようであるが、この先の天候がやや心配になってきたところである。なお、相模湖は洪水調節機能がないので極端な水位の変動はしない。

8月に入っても降水には恵まれなかったが、山の日も近くなったころからは雨の日が続いた。台風の影響もあった。ようやく渇水の危機からは脱した模様である。宮ヶ瀬ダムは巨大だが流入量が少ないので水位はまだ低いが、そういう「仕様」なので問題ない。いずれ水位も上がってくることだろう。

大減水からわずか10日あまりで、宮ヶ瀬湖以外はほぼ満タンになった。雨の日が多く、ネタ集めも捗らない。弊サイトも開店休業状態である。

8月下旬、ようやく晴れ間がのぞくようになってきた。残暑は厳しいから水遊びだ。宮ヶ瀬湖の貯水率はまだ低いので、水位の高いときには湖底に沈んでしまう滝を探索した。海と違ってクラゲもおらず、水量が適当ならさわやかな水を楽しめる。滝のすぐそばには神奈川県の水を支える「命綱」といってもいい施設の一つ、道志導水路の放水口も見られる。

貯水率が低くお天道様の下に顔を出しているものが、いつごろまで見られるのかと思い、国土地理院の地図を飽かず眺めている。宮ヶ瀬湖の湖面は低い水位で運用される洪水期をもとに描かれていることを知る。水涯線(≒海岸線)は満潮時を基準に表示されるから、てっきりダム湖は満水時を基準にしているのかと思っていた。地形図上の河川は常時水流があることが条件だから、河川の「仲間」である湖も常時水のある状態である洪水期をもとに描かれるのか?いや、満水時で描かれているダム湖もあるから、これも当てはまらなそうだ。

9月に入り、相変わらず空模様は今ひとつの日が多い。秋の紅葉シーズンに向けて下見をしておこうというわけで、曇り空ではあったが、やどりき水源林滝郷の滝の様子を見に出掛けた。なかなかポテンシャルが高そうなディスティネーションであるとの結論に達し、晴れた日に再訪し、ページの写真も入れ替えている。

10月、大雨があった。三保ダムが洪水吐ゲート放流しているという情報を得て駆けつけるも、折悪しく東名高速道路の集中工事と三連休に重なってしまった。到着時にはすでに、ゲート放流は終わっていた。立ち直れないほどのショックである。なんにもネタを作れないのは癪なので、三保ダムに隣接する田ノ入発電所と、そこから導水管で水が供給されている嵐発電所の記事を追加してみた。あんまりやる気がないのがミエミエではあるが。

ダムが好きは台風が接近するとワクワクソワソワしだす不謹慎な趣味である。10月も下旬になり、台風21号が日本列島を通過した。各ダムともゲート放流を開始する。未明に台風が通過したその日、台風一過の青空の下、絶好の撮影日和に三保ダムのゲート放流を見学した。これにて神奈川県内のダムはすべて放流の様子を目にすることができた。コンプリート!しかし、相模ダム城山ダム道志ダムは今回の三保ダムほど豪快なゲート放流のカットを撮れていない。ほぼ1年後になりそうだが、条件のよさそうな日が来れば再訪したい。

10月末、季節も進んできた。台風があり色づきかかった木の葉が落ちてしまい、紅葉がどうなるのか心配だ。三国山の周辺をうろついて、紅葉の進み具合を見てきた。まだ葉は相当残っている。クルマがあれば簡単に訪問できるこのエリアの紅葉の見ごろは、11月上旬あたりになりそうだ。

と、そのときである。2週続けての台風が関東地方に影響を与えた。紅葉は期待薄になってきてしまったが、三保ダムは再びゲート放流を実施していた。三保ダムゲート放流中のページに、大野山から俯瞰した放流の様子を追加した。2週連続の台風により、県内の各ダムでもゲート放流がおこなわれた。城山ダム放流中のページにも写真を追加している。

11月に入り、紅葉の様子の偵察を開始した。その第一弾として大室山や加入道山の周辺を歩いた。甲相国境尾根や派生する尾根はブナ林に恵まれているのだが…標高の高いところでは、すっかり葉が落ちてしまっていた。仕方ないので経路の途中にある白石の滝をネタとして追加した。滝に関しては、木の葉がすっかり落ちた冬のほうが見通しがきく。寂しくなりつつある紅葉の森越しに、滝を眺めた。
葉っぱのないブナ林ではあるが、ひとまず大室山・加入道山周辺の記事をまとめておいた。ずいぶん先の話になりそうだが、新緑や紅葉の季節が到来したら、写真を追加したりする考えである。

2016年11月は思いがけず早い雪に見舞われたユーシン渓谷を探訪した。紅葉も見ておきたいので再訪しているが、去年の「雪上がり」ほどパッとした絵がない。

西丹沢の紅葉はユーシン渓谷だけではない。新緑の季節に探訪している本棚下棚の紅葉を楽しんだ。時期は遅くなってしまったが、2017年は11月末まで「紅葉らしい」風景が残っていた。ただし、10月の台風で経路の登山道は若干荒れ気味であった。

2018年

1月2月、天候にも恵まれず予定の調整もうまくいかない。四季を通じて絵になるユーシン渓谷は玄倉林道の落石がひどく、1月下旬から歩行者を含めて通行止になってしまった。山のほうはたびたび積雪に見舞われた。3月にも雪の日があった。
晩秋から冬にかけての雪とは違い、春先の雪は厄介だ。すぐに解けだして泥まみれになりかねない。日が長くなるのは助かるが、ぬかるんだ山道は雪が積もっているよりもよほどたちが悪い。

3月後半になり、ようやく活動再開となった。新規の記事は起こしていないが、青山沈殿池の記事では桜満開の写真を追加した。
県内各ダムの水位も高い。八丁の滝のページには宮ヶ瀬湖貯水率98%ですっかり水没しているときの写真を追加した。

4月になってもユーシン渓谷への玄倉林道は歩行者を含めた通行止が続いている。あのエリアにアクセスする方法は考えられないでもないが、難度は高そうだ。そこで、比較的手軽にユーシンブルーを目にできる場所として玄倉第1発電所の水槽を訪ねてみた。玄倉ダムから水路でつながっているこの水槽は、あの青い水で満たされている。

今年は昨年に比べ季節の進みが早いようだ。4月下旬、昨年5月に続き早戸大滝を再訪した。「雨乞い伝説」の滝でもあり、豊穣を祈願する意味も込めての探訪である。もっとも、私が訪問した昨年は、県内のダムの貯水率がかつてない水準にまで低下してしまったが。
去年と同じでは芸がないので、前回は見送った(途中の経路が怖くて引き返したのが真実であるが)早戸大滝の落ち口も探索している。昨年同様、春から森林整備の作業が開始されたため、途中の経路の丸太橋も復活していた。

早戸大滝の帰りには、3月に運転を開始したばかりの早戸川発電所に立ち寄った。今はやりの小水力発電である。

昨年に引き続き、5月には「須走まぼろしの滝」を訪ねた。相変わらず天候の見極めが大変な目的地である。当日は曇りの予報であったが、標高の高い「須走まぼろしの滝」付近は雲の上の世界で、富士山の眺めは悪くなかった。
しかし、2017年とまったく同じ経路では「芸が無い」。前回2017年に探索したのは標高2250mの地点までだったが、今回は標高2430mの地点まで足を運んでいる。

6月は水道週間で始まる。神奈川県内では例年この期間に相模大堰谷ケ原浄水場寒川浄水場が施設公開される。今年は昨年訪問できなかった寒川浄水場を訪ねた。県営水道創設時からの歴史ある施設だが、はじめて浄水場を見学するなら、緩速ろ過、急速ろ過の2方式を運用している谷ケ原浄水場のほうが面白そうだ。

今年は6月のうちに梅雨が明けてしまった。そして7月。暑い。昨年紅葉もすっかり終わった後にハゲハゲの森を歩いた加入堂山あたりの、しっかり葉が茂った景色を見ようと考えた。しかし、昨年と同じ大室山と加入道山を周回するコースは長い。暑いなか、あの長い歩きをする気は起きない。ならば北側の斜面から登れば、いくらか涼しく到達できるだろうということで、道志村から加入道山を目指した。北斜面だって暑いことには暑いのだが、夏らしい森の景色には味わいがある。

8月、台風の接近が何度かあり、ダムのゲート放流もおこなわれた。しかし予定が合わず、また天候の面でも秋の台風通過後のように「台風一過の青空」が広がってくれたわけではなく、撮影条件には恵まれなかった。「大量放流、青空」という見栄えのするカットはものにできなかった。「ネタ」がまったくないのもよろしくない。愛川町が跡地を取得することになり、今後なんらかの開発が実施されそうな歴史的施設、横須賀水道半原水源地の記事を追加した。取材は6月ぐらいからついでを見つけて進めており、記事に掲載している写真の撮影時期は6月~8月にかけてとまちまちだ。

9月、ダムの放流は幾度かあったが、8月と同様「これ!」というできばえの写真はものにできなかった。そしてなぜか突拍子もなく、富士山にご執心である。ずっと先送りしてきた登頂も果たした。このサイトのコンテンツに関係があるものといえば、宝永山である。宝永山が噴火して、その後100年にわたり、相模国は治水に苦しんだ。これからも、富士山は恵みであり、同時に人の手ではどうすることもできない苦難をもたらす畏怖の対象であり続けるのであろう。

あっという間に10月に入ってしまう。いい写真をものにできていないゲート放流中の記事であるが、いつまでも1門や2門しか放流していない写真で誤魔化し続けるわけにもいかない。相模ダム城山ダムのゲート放流中の記事に、放水量の多い写真を追加した。

10月も下旬になり紅葉の便りが聞かれるようになった。昨年2017年はあいにくの曇天で悔しい思いをした大室山、加入道山を周回する「ブナぼうぼう」のコースを再び探訪した。今年も台風で紅葉を待たずに葉を落としてしまった木々が多いものの、今回は天候にも恵まれた。

さて、この秋は神奈川県企業庁から大きなプレゼントがある。本沢ダム(城山湖)の水を点検のため抜くというのである。近ごろは池の水を抜くのがはやっているようだが、スケールがケタ違いだ。天候も落ち着いてきた11月に入って取材し記事を作成したが、紅葉が進むこの先も楽しみだ。

秋は深まり、紅葉のネタはやはり強化したい。11月11日、何度も訪れている本棚・下棚を探索した。谷あいの表情豊かな経路は何度訪ねても趣深い。紅葉の進み方は日当たりや標高差、樹木の種類によって違うので、まだしばらく楽しめる。

ところで、「西丹沢ばかりえこひいきしているだろう?」というご指摘を頂戴してしまった。確かに、西丹沢以外のコンテンツは更新も滞りがちであり、大いに反省しているところだ。どの山域も標高が高い稜線の木の葉は散ってしまっているが、標高が低いところでの紅葉はまだこれからである。
天気のよかった日に都合をつけて、秦野市の表丹沢、ミズヒ大滝に秋の進み具合を見に出掛けた。当日は小丸尾根から登り、鍋割山稜や鍋割山も経由したのだが、これから見ごろが続くのは、標高が低いミズヒ大滝あたりだ。クルマがなくてもアクセスは比較的容易なので、11月後半の目的地としてはお勧めである。

11月末、本格的な冬を前に、神奈川県最高峰の蛭ヶ岳に登ってきた。経路は充実したブナの森を抜ける。急な登りを含む長い歩きで、日が短い季節には大変なコースだが、富士山や西丹沢をはじめとするすばらしい展望を楽しめる。

このコンテンツも開始から3年目に入ってる。一年の終わりを迎えるにあたって、要望のあった「アクセス難度」の情報を記事に追加しているところだ。自動車で行くか公共交通機関で行くかによる違い、体力レベルの個人差など、難度の記載には難しさがある。それでも、一応の目安となる指標をご提示しておこうという趣旨だ。来年にかけて、全ページに情報を追加する方針である。

さて、2018年9月から城山発電所の点検を目的として城山湖(本沢ダム)の水が抜かれているが、この点検期間に合わせ、12月には施設の見学会が開催された。水を抜いての点検は10年ぶりで、次回の点検までもおそらく同程度の間隔が開くのだろう。「追体験できる」という弊サイトのコンセプトからは外れてしまう記事であるが、当日の模様を記事にまとめておいた。

2019年

年が明けて2019年1月、しばらく雨らしい雨の日がない。丹沢の山並みも、依然として雪化粧はしていない。気温は冬らしく冷え込む日が多い。いまだ!とばかり早戸大滝に出動した。目的は氷瀑を見ることである。長らく好天が続き、かつ冷え込みが予想された日、完全に結氷というわけにはいかなかったが、十分絵になる氷瀑を楽しむことができた。

続いて2月、西丹沢の本棚・下棚を探索した。早戸大滝に続き氷瀑目当てである。「空振り」であったが…。

2月下旬から3月にかけて、宮ヶ瀬ダムの副ダム、石小屋ダムが、放流設備の点検にともない堤頂部から放流するという。当然見に出掛けたのである。

3月後半、桜の便りが届き始める。27日の早朝に走水水源地の開花状況を偵察に出掛けた。この日で五分咲きぐらいだったので、2019年の桜の散策―施設開放―が開催される3月29日(金)~4月7日(日)の間にちょうど見ごろを迎えそうだ。

4月にかけては、桜の名所を訪ね歩く。新規の記事の追加はないが、今年は比較的長期間楽しめそうな天候に恵まれている。

そして4月14日、念願の城山ダム見学会に参加した。昨年の開催時にも申し込みをしていたが、台風によるゲート放流で中止になってしまったのだ。最近のダムのような「見せる仕掛け」はなされていないが、実用的なつくりがシブい。

今年は年明けから雨が少ない。特に4月以降、津久井湖の貯水率は目立って低い水準で推移している。5月に入り低水位の津久井湖周辺を探索した。目当てはいつもなら津久井湖の水面下に沈んでいる水道施設の遺構、太井ずい道跡である。まとまった雨がなければ、しばらくこの眺めを目にすることができそうだが、夏にかけての渇水が気がかりだ。探索のついでに、近くにある城山ずい道下流側も探索している。

いよいよ、例年の「アレ」の季節だ。須走まぼろしの滝である。変化をつけたいので、これまでよりも早く5月8日に探訪してみた。残雪残る富士山麓で雪解けを堪能した。

2019年は6月に入って富士山に積雪があった。今シーズンはすでに終了したと思っていた須走まぼろしの滝が、もしかするとまた見られるかもしれない。おおむね標高2800m以上が雪化粧し下界は夏日となった6月13日、急遽探索に出掛けた

今年は富士山方面に出掛けることが多く、「新ネタ」の供給が追いついていない。梅雨も明けたこの季節、相模国の山は暑い。滝にでも打たれて涼を求めるのがよかろう。

天候に恵まれなかった7月が過ぎ、8月。わずかばかりの夏らしい日の後に、台風10号が接近した。県内のダムもゲート放流が実施された。しかし、動きの鈍いこの台風では、「台風一過の晴天に映える真っ白な水しぶき」とはいかなかった。記事を追加する気も起きない。秋に期待、とか書くと怒られるだろうな。

9月も後半に差しかかった。ダムの貯水量も満タンで、面白みがないな。と、またまた怒られそうなコメントしかできないのであった。錦秋の西丹沢に期待しているところである。

10月、今年も台風に直撃されてしまった。台風19号にともなう城山ダムのゲート放流を取材した。今回の台風では大々的に城山ダムが取り上げられ、大勢見物にやってきていたが、ここまで賑わってしまうとあんまり楽しくないな。県内だけでも被害は甚大だ。

台風19号による登山道の被害は甚大であった。西丹沢方面を中心に危険箇所があり、手軽に探索できないところが多数発生してしまった。道志川方面からアクセスするにも、国道413号線に不通区間があり苦戦を強いられる。11月に入り、比較的被害が少なく手軽な鍋割山稜を探訪したが、三廻部林道が土砂災害で不通になってしまい、表丹沢県民の森まで車を入れられない。仕方なく大倉から歩いたが、所要時間は長くなり、日の短い秋だと十分な探索時間がとれなくて残念だ。
もともと雨には西丹沢方面も気がかりだ。とくに、用木沢出合から犬越路に至る沢沿いの経路は危なっかしい。さりとて、ツツジ新道に登山者が集中すると、ツツジや紅葉の季節には大変な混雑が予想される。迂回路として初夏に調査しておいた犬越路林道・犬越路隧道経由の偵察もおこなった。幸い林道経由なら通行に問題はなく、ツツジ新道で檜洞丸に登り、丹沢主稜の景色の良い区間を「おいしいとこ取り」して、犬越路林道経由で下る周回が可能なことが確認できた。

2020年

2019年の台風被害からは登山道の復旧も進んできたが、コロナ禍で外出が困難な時期が続いた。定期的に開催されていたダムのイベントも軒並み中止となってしまった。
早戸川林道は壊滅的な打撃を受け、復旧に時間がかかる見込みだ。台風以前から通行止めが続いているユーシン渓谷の林道も、復旧まで時間がかかりそうだ。

2021年

相変わらずコロナ禍が続いている。ダムのイベントも再開できずにいる。
訪問先の選択肢がなかなか広がらないが、2019年台風での目立った被害がなく、手軽に訪問できて紅葉も新緑も富士山の眺めも楽しめる三国山や、本棚下棚など定番になっている西丹沢の滝めぐりをして過ごした。

2022年

4月、ユーシン渓谷の林道が、ようやく通行できるようになった。早速、玄倉ダムを経て熊木ダムまで偵察に出掛けた。
予想はしていたが、ダムも被災しており復旧はこれからのようだ。したがって当面ダムのゲートも開放された状態で、湛水されたユーシンブルーは「お預け」である。
なお、玄倉ダムまでの神奈川県が管理する林道は通行止めが解除されたが、より上流の熊木ダムに至る林野庁管轄の玄倉治山運搬路は大きく被災しており、改めて通行止めが発表された。今後復旧工事が予定されているものの、ようやく調査設計の入札がおこなわれている段階で、工事が完了するまでには相当時間がかかりそうだ。
4月下旬にはふじあざみラインも冬季閉鎖が解除された。弊サイトでは「番外編」である須走まぼろしの滝を探訪した。

5月、西丹沢にはツツジの季節が到来した。石棚山稜と檜洞丸を探索した。西丹沢ビジターセンター付近の駐車スペースが大幅に縮小されてしまい、平日でも5時台に満車となるありさまだ。バス便も本数が限られていて、アクセスがかなり難しくなってしまった。