極めて高い採算性!
極めて高単価であり、農業者の視点からも魅力的な作物だ。家庭菜園での採算性も、もちろん高い。
スーパーの木の芽(サンショウの葉)はほんの数本が入っているだけで399円ぐらいはする。サンショウの実もまた、小さなパックで399円が普通の値段だ。佃煮のような加工品に至っては、買ってまで食べる気にならないほどの価格である。
ここまで高単価な作物だから、多少の苦難を乗り越えてでも自家栽培を行う価値があろうというものだ。
苗
朝倉サンショウにしろ!
なにがなんでも朝倉サンショウを選ぶこと。
普通のサンショウの木には雄雌があり、実は雌株にしかならない。そして雌雄それぞれ1株以上が必要なになるからスペース効率も悪い。さらにはトゲがたくさん生えていて、収穫のときには傷だらけになる。
いっぽう、朝倉サンショウは1本でも実がなるだけでなく、なんとトゲがない!
朝倉サンショウの苗はお値段も高い。普通のサンショウが399円だとすると、朝倉サンショウは小さな苗でも598円はする。それでもお値段に見合うだけの値打ちはあるぞ。
朝倉サンショウにはトゲがない!
苗の大きさ
3ケタの予算で買える朝倉サンショウの苗はずいぶん貧相だ。598円で買った苗は1年間経過しても「まだまだ先は長いぞ」といったところ。
598円の苗
一冬経過するとようやく枝も木質化して、「木らしく」なってくる。しかし、まだ実はならない。木の芽を少量収穫できる程度であろう。
1年経過した598円の苗
この状態だと来年は少量の実も収穫できよう。ただ、本格的な実の収穫は再来年以降になると見込まれる。
798円で買った苗もあり、こちらはかなりマシである。4月に購入後1カ月強でこの状態なので、翌年は十分木の芽を楽しめ、わずかながら実の収穫も期待できよう。
798円の苗
いっぽう、2980円ぐらい出せればそれなりの大きさの苗が手に入る。
2980円の苗
枝がぜんぜん生えていないが気にするな。すぐ生えてくる。
一冬経過すると枝も木質化が進み、充実してくる。
1年経過した2980円の苗
この状態までなれば、木の芽を利用するには十分だ。実も佃煮数回分程度は収穫可能になる。
育て方
高単価で魅力的なサンショウだが、神経質な連中だ。とにかくなんの前触れもなく枯れる。春になっても新芽がふかず、枯死に気がつく。
プロの農家でも原因不明の枯死により、何本も木を失うことがあるほどだ。かくいう筆者も3本を一度に枯らしたことがある。
プランター
根をいじられるのを極度に嫌う様子だから、植え替え回数を削減するため、最初から大きめのプランターを選んでしまえ。土にもある程度は手間とコストをかけたほうがいい。素直に苗のラベルの説明に従うことだ。なにしろ高単価だからな。
当然、地植えしたほうが樹勢は強くなるが、いったん地植えするとプランターに戻すことはほぼ不可能になる。そこんとこよーく考えて、地植えに踏み切っていただきたい。
害虫
アゲハの幼虫はサンショウが大好物である。エサとしてサンショウを育てているチョウの愛好家もいるほどだ(近所迷惑)。
サンショウを育てたいのなら、アゲハチョウが飛んでいるのを見つけたらハエたたきで捕殺しろ。アゲハの幼虫の毛虫は見つけ次第使い古しの割りばしでつまんで捕殺。それから枝に付いたクモの巣を取り除いてはいけない。クモさんはいい仕事をしてくれるからな。
落葉
秋冬はきれいさっぱり落葉する。枯れたんじゃないかと心配する向きもあろうが、たいていの場合、翌春には元気に新芽が出てくる。
こぼれ種
「こぼれ種」から勝手に生えてくることも多い。が、朝倉サンショウのこぼれ種だとしても、朝倉サンショウの性質―トゲがなく1本でも実がなる―を引き継いでいるとは限らない。世の中そんなに甘くないのだよ。
もっとも、トゲがあって実がならなくても、木の芽を楽しむ分には十分だが。