- アクセス難度
- 装備:トレッキング
- 道路:山岳路
- 交通機関:なし
- 行動:50/100(登山道、急峻、道標未整備、徒歩4時間以上)
富士山の雪解け水を集め出現する滝。見られる時期は5月中旬から6月はじめになるが、冬の間の積雪や天候次第で変動する。気温が低い日、すなわち雪が解けにくい日には、昼近くまで水が流れていないこともある。
さらには、背景に富士山が見えるタイミングを選ぶのも難しい。気温が低い朝早い時間なら期待がもてるが、そういう日の午前中は水がないか、水量が少ない傾向になってしまう。
2017年5月の経路である。経路のマーカーをポイントすると説明(というほどでもない)が表示される。
須走口五合目から歩き始める。第3駐車場の奥が、「須走まぼろしの滝」への入口になる。富士山への登山道に近い第2駐車場ではなく、第3駐車場のほうが便利だ。余談ながら、第1駐車場はない。
- 靴:スニーカーでもなんとかなる。トレッキングシューズがあればなおよい。
- 防寒:晴れ間を待つ必要に迫られる可能性がある。日が当たらず風が強いときは寒い。
- 飲食物:防寒と同様、待ち時間が長くなる可能性があるので用意。
- 軍手:あれば楽。
- 登山杖:あれば楽。かつ、移動速度が上がる。
第3駐車場(標高約2000m)から最初は樹林の中を登り、標高2050mあたりからは火山礫の緩やかな斜面に沿って(トラバースして)進む。登山道を示すロープが設置されている。
雪解け水が流れる沢にぶつかるところでロープは終わる。水量が多いときなら、このロープが終わる付近からも流れ落ちる水を眺められる。
ただし、水の流れが美しい感じではなく、富士山も上のほうしか見えず広がりがない。眺めとしては今ひとつなので、ここからさらに登っていく。
沢沿いの岩場を登る道か、北側に迂回する火山礫の道を選べる。登りは沢沿いを選んでも特に問題ないと思うが、下りは火山礫の道のほうが安全で早そうだ。水量が増えた午後の下り(帰り)の岩場を下りるのはやや気を遣う。
岩場を遡るコースを人が登ってきている。
岩場を遡る経路の途中からも流れを見上げられる。午後になるとこの写真のように光線条件が厳しいので、往路で選択するのがよい。
火山礫のコース。下りには安全かつ楽ちん。
2150m付近が典型的な「須走まぼろしの滝」の景色が眺められるポイントだ。冒頭の動画もここで撮影している。
気温が低い日の朝、富士山は見えないが上の写真とほぼ同じ地点で。いわば「開店前」の状態。
沢沿いをさらに登っていく。10~15分ぐらいで落差のあるポイントに到着。人によってはこのあたりから空気が薄いことが気になり出すかもしれない。
さらに10分ぐらい遡ると、標高2250mぐらいで開けた地点に到達する。
この先にも滝状になっていて眺めを楽しめるポイントがあるという話だが、2017年シーズンは条件に恵まれないらしい。
まぼろしの滝を目にできる季節なら登山道に積雪はないと思うが、残雪はあちこちに残っている。土砂をかぶっていて雪だとは気付きにくいかもしれないが、こうして雪庇のようになっているところもある。撮影のために踏み跡のない地点に入る際は十分に注意されたし。視界の悪い霧やガスの日も要注意だ。
さて、『神奈川水めぐり』というコンテンツで、静岡県駿東郡小山町にあるこの滝を取り上げるのは不可解かもしれない。滝から流れた水の大半は乾いた火山性の土壌に吸い込まれたり、蒸発してしまうのだろう。しかし、水のうちいくらかは、酒匂川水系の上流部に流れ込む。この滝も相模湾に注ぐ酒匂川の源流の一つといえるのだ。