上流には日本の滝百選の早戸大滝や雷滝など魅力的な水がいろいろあって人気の川である。
しかし、2015年7月に土砂崩れで林道が通行止めになり、以降、Webに出てくる情報もとても少なくなっていた。このたび林道が復旧したとの情報を登山口ナビさんで仕込み、2016年の鉄道の日(鉄道は関係ないな。10月14日である)、まずは偵察に行ってきた。
装備が充実していれば早戸大滝まで行くこともできそうだったが、今回の偵察は普段の山歩き装備だったので、途中で退却した。それなりに山歩きに慣れている方でないと無理なルートであるから、安易な心構えで訪問しないようにしていただきたい。
そのようなルートなので、詳細な解説はしない。相変わらず理由を作っては説明を端折ろうとしているのがミエミエではあるが、補足の情報は念入りにググっていただきたい。
魚止橋までクルマで乗りつけることができた場合、橋の手前の路肩に10台程度は駐車が可能な余地がある。橋を渡ったところは折り返しのためのスペースなので、駐車するべからず。
弊サイトでは「誰でもがんばれば追体験できるネタ」の提供をコンセプトにしているものの、ここ早戸川に関してはそうもいかない。この先も危なっかしいものがいろいろ出てくるので、そのつもりでご覧いただきたい。
(追記:この記事の公開後、2017年と2018年に早戸大滝を探訪した記事を掲載しています。)
クルマで乗り入れられるとはいっても、このような注意書きのある道路であるから、十分に注意されたし。
魚止橋までは舗装。その先もいくらか未舗装の林道が続いている。道路の状態はスズキ・ジムニーのようなクルマならさらに先、伝道まで到達できそうだ。しかし、魚止橋から少し進んだところにはこのような車止めが設置されてしまっている。これではクルマがよくても魚止橋手前で駐車しておくしかない。かつて訪問された方の情報にはない設備だ。ジムニーだってこの車止めは越えられない。
林道が終わる伝道からは、山歩きの道に入る。かつてはさまざまなルートがたどられたようだが、現時点では看板の背後からいったん右方向に進む。
直進に見える橋を渡っても行き止まりだ。偵察したところ途中から尾根に上がることも無理ではない様子だったが、あえてリスクを取る必要もなかろう。なお、橋を渡ってから右側の尾根に登ることができれば、最初に出くわす小さな沢の徒渉を回避できる(だから途中まで偵察に入った)。
看板はこのような内容。この後判明するが、丸太橋はやっぱり流されたままで、なかった。
「山火事から森を守ろう」の看板の先にロープがかけられている。そちらに進む。
鹿柵沿いに尾根をたどる。この付近は特に危険ということはない。
最初に小さな沢を渡る徒渉地点がある。ここは登山靴で乗り切ることができた。しかし、急な谷から流れ落ちていて、雨降りの後にはここも恐ろしいポイントになり得そうだ。この後の登り下りは結構激しく、ロープがなければ行き来できない箇所もある。
さまざまなサイトで紹介されている造林小屋に到着。この小屋も、近年痛みが激しくなっている様子だ。丹沢マイナールート探検隊さんなどに掲載されている2010年ごろの写真ではしっかり建っていた様子だが、今ではすっかり傾いでしまっている。
どうやら土砂崩れで傾いてしまった模様だ。もっとも、今のところ造林小屋は雨露をしのぐ程度なら十分機能している。クマさん出てきたらイヤなので、ここでたばこ休憩とする。盛大に煙を吐く。
造林小屋の先は川面から相当高いところに道が付けられている。桟道が何カ所かあり、どれもコンディションはよろしくない。横板が外れる可能性は十分高い。
縦方向の木材も腐食が進んでいる箇所がある。雨降り、あるいは雨上がりは無理だ。
しかし、ロープは思いのほかしっかり維持されている。万が一、というか千に一ぐらいの確率で桟道が抜け落ちる場面に遭遇しても、ロープをしっかりつかんでいれば命を落とすことはなさそうだ。ケガはしそうだけれど。
何度も補修されているらしいこの橋は怖かった。若いころは遺跡のてっぺんに腰掛けて脚をぶらんぶらんさせても平気だったのだが、加齢とともに高所は極めて苦手になってしまった。
下から延びているハシゴでやり過ごしていた時期もあった模様だが、上に橋が取り付けられた今では、このルートは使えない。下のハシゴをよじ登ってハングしながら橋の上の道に復帰するのはちょっと無理ですね。怖い。
ちなみに、右下には谷底まで引っかかれそうなところはない。
いよいよ、最初の大きな徒渉地点に下降する。ロープを手がかりに急斜面を下る。
予告どおり丸太橋はない。ここは幅が広く流れが緩やかになっているあたり(写真では明るくしてある)で徒渉可能であった。流れが比較的穏やかで、水がしぶきで白くなっていないあたりを選ぶのがポイントであろう。飛び渡れる石はなく、登山靴は脱いでマリンシューズで徒渉した。
身長178cm、オッサンのわりに脚は結構長い私(自慢しているわけではない!)でも膝やや上まで水に浸かる。冷てえよ。
その後には「岩場をへつる」と紹介されている箇所がある。上のほうに登って高巻きする道もある。わざわざ「危ない橋」を渡る気はないので、高巻きするほうの道を進んだ。へつりは時間がかかる。高巻きしても時間的なロスはないと思われる。
写真は上流側から撮ったもの。岩の矢印は画像に加工したのではなくて、実際に書かれている。どこもマーキングはわりかし丁寧に付けられている。
2番目の徒渉地点に到達。こちらも予告どおり丸太橋はない。マーキングはあちこちに付けられており、ここでも対岸の岩に矢印がある。
最初の徒渉地点よりも水量は少なそうだ。しかし、川幅が狭まっていて水が深い。写真ではなんとかなりそうだが、流れが速いか深いかで、じつにイヤらしい加減である。
ここで向こう岸に渡るとすれば…
- ピョーンと飛び越える
なんとかなりそうではあった。しかし、岩が湿っていて滑りそうだ。10分の1ぐらいの確率で足をグニャっとやる恐れがある。足をグニャっとやってしまうと最悪の場合進退窮まる。 - ズブズブ行く
腰まで水がいきそうだった。「金冷し」になる(そういう地名が丹沢各地にあるが)。水もすでに十分冷たいので消耗は激しかろう。本日この後の行動が制約されてしまう。
ということで、今回の偵察は2回目の徒渉地点で退却した。
この地点、紅葉はとてもきれいそうだ。すでに色が変わりはじめている樹木もあった。見ごろは11月上旬あたりになりそうだ。
今回の偵察の報告ならびに今後考えられる方策を以下にまとめる。
- 登山道(といえるかどうか分からない代物だが)は、年々コンディションが悪くなっている模様だ。
- 早戸川を遡るには徒渉がカギとなる。上流のほうが確実に水量は少ない。1回目、2回目の徒渉をクリアできれば、以降は沢が合流するよりも上流なので、なんとかなりそうな感触。
- 沢釣りをするような装備であれば多少水量があってもなんとかなりそうだ。しかし、沢釣りの装備では登坂など行動が制約される欠点がある。帰りは丹沢山から続く尾根に登って撤収するルートもあるようだが、沢釣り装備だとこの方法の選択は難しくなりそうだ。
- 最初から高い尾根を経由して徒渉を回避する手段を検討してみる価値はありそうだ。これができれば遡上の確実性は大いに高まる。
季節ごとでは…
- 春は難しそうである。水が冷たくて死ねる。さらにはクマさんも怖い。
- 夏場なら水は多そうだがなんとかなるだろう。ずぶ濡れになって渡ってもすぐ乾く。そもそも夏の丹沢は汗だくでずぶ濡れになりながらの歩きになるから、濡れたって大勢に影響はない。そのかわり、ヤマビルがわんさか蔓延っていそうなのが課題となる。
- 秋は水量次第。変動が激しい模様である。確実に遡りたければ装備を練る必要がある。
- 冬は積雪前にチャンスがありそうだ。降雨がない日が続き、積雪が到来していないタイミングが候補となる。