城山湖&城山発電所見学会

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ヘルメット着用で出発
点検のため10年ぶりに城山湖(本沢ダム)の水を抜いている期間に合わせ、城山発電所に関連する施設の見学会が開催された。普段からグループなら見学を受け付けている城山発電所だが、この日のツアーにはいくつかの「スペシャルメニュー」が用意されていた。

  1. 城山湖
  2. 発電総合制御所
  3. 城山発電所

城山湖

まずは水を抜いている城山湖(本沢調整池、本沢ダム)の施設を回る。
いつでも入れる湖岸の休憩所からはすでに抜水の状況を見学しているが、この日はより(通常の)湖面に近い、管理用通路に入ることができた。「ダムエレキくん」も打ち合わせ中だ。
打ち合わせをするダムエレキくん
近くからだと、より迫力がある取水口。
取水口はすぐ下
洪水吐の下方に見えるあの構造物は、建設時の仮排水路だったそうだ。湛水前でも周囲の山から流れ込む雨水を、あそこから境川のほうに排出していた。一つ謎が解けた。なお、建設以来、遠くに見える洪水吐から放流した記録はないようだという情報も得た。台風のときに決死の覚悟で洪水吐からの放流を見ようとしても、徒労に終わるということだ。
洪水吐方向
建設中はあの溝のような設備から排水

発電総合制御所

発電総合制御所の設備も見ることができた。ここでは神奈川県企業庁が管理するダムや発電所を文字どおり制御している。遠く西丹沢のダムも状況が分かる。
だーっと横長の制御盤

城山発電所

次は、地下にある城山発電所の設備を見学する。
このサイトではよくあることだが、会議室に掲げられていた「城山発電所透視図」の写真を掲載することで、説明を端折る。この透視図の写真は以降の記事を理解するうえで重要である。
標高310mの建物2階からエレベーターで下降し「地下発電所」の施設を回る。
城山発電所の構造を確認
「城山発電所透視図」の全体像

エレベーターには通常のような「2」「B2」「B3」といった表示器も付いているが、現在地の標高を知らせる表示器も取り付けられている。途中にも点検すべき設備があるため、標高の情報が不可欠だそうだ。
普通の階表示
最低点は標高75m
エレベーターで地下に下り、最初に目にするのがこの空間である。発電機のうち、発電機上部に取り付けられた励磁機が並んでいる。発電機はこの下に「本体」があり、発電機室は上下に広がっている。
発電機4機分に合わせ、4台の励磁機が並ぶ
天井には「No.1」「No.2」と2台のクレーンがぶら下がっている。大型クレーン1台ではなく2台なのは、重量物は2台同時に稼働させて持ち上げ、比較的軽量の資材は2台のクレーンを別々に稼働させ効率を上げる狙いだそうだ。大型クレーンではこの地下空間への設置が難しいという事情もあったという。
1号クレーン
2号クレーン
内線電話には昔ながらの「黒電話」も残る。多機能が必要なわけでもない用途ではこれで十分なのだろう。停電時に使えるメリットもある。
ダイヤル回す黒電話
2号クレーンの側には、地上との間で資材を運搬するインクライン(ケーブルカー)が設置されている。
軌間はひろく頑丈そうなレール
インクラインが発電機室に接続する部分に設置されているシャッター。「Welcome」な雰囲気である。
ようこそ地下230mの城山発電所へ
上の写真のシャッターから裏側に回り込むと、インクラインのトンネルを見られる。軌道に沿って設置された階段は1200段あまりあるそうだ。
トンネルは直線
続いて「ポンプ水車」の部屋。同様の設備は愛川第1発電所でも目にすることができる。
トンネルの奥に水車タービン
水車の軸が露出
天井は手作り感がある
上池である「城山湖」から発電するポンプ水車を経て、下池である「津久井湖」とを結ぶ放水路の水圧鉄管を見る。太い。
巨大な水圧鉄管
これら鉄管の継ぎ目を塞いでいるパッキンの交換も、今回の点検で重要なメニューであったそうだ。
ボルトで留められた水圧鉄管の継ぎ目を見る
取り外されたパッキン。今回が建設以来、初めての交換だったという。とすると、次の交換は50年以上先であろう。取り替えられて間もないパッキンを目にする機会は、生涯もうなさそうだ。
新品の残りも並べられている
50年以上使用されたパッキン
若干順番が前後するのだが、これも今回の目玉のひとつ。点検口を開けて鉄管内部を覗いて見ることができた。普段からグループなら受け付けている通常時の公開では、水が流れていてこの鉄管内部を見ることは難しい。
鉄管内部の説明
あの中へ
ごつい扉
内部の高さは人が十分立てる
閉じられた弁